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スローターハウス5



カート・ヴォネガットスローターハウス5


おもに
移動中の電車で読んでいたため
読み終えるまでに かなり時間がかかった
惰性で読んでいたため 読み終えた時の達成感があまりなかった

この作品を勧めてくれた職場の人からDVDを借りた際
「原作と映画、どっちを先に見た方がいいですかね?」
と聞いたら
「どっちでもいいと思いますよ。原作はもちろんだけど、映画も本当、良く出来ているから」
そう言われ
映画を観たあとにこの原作を読んだのだが
言われた通り
映画が いかに良く出来ているかを実感した

ちょっと誇張気味かもしれないが
映画をもう一度観直しているかのような感覚で読んでいた
活字を追っているのだが常に映画での映像が頭に流れていた

だからなのか
映画があまりに良く出来すぎていて
あとから原作を読んでも 新鮮味に欠けるものがあった

感想としては
映画の感想でも書いたように (←クリックで映画の感想記事へ)
めまぐるしく場面転換する物語で
どこがどう良かったのかはよくわからないが
以下のように思った

読み始め
(前置きが長いな!)
そう思ったのだが
読んでいくと
(でも、それもまた良いものだ)
そう思わせる前置きの締めくくりで
高揚感の湧く絶妙な本編との繋ぎの役割を果たしていた

戦争と平和
過去と現在と未来
生と死
それらはそれらの瞬間であって他のなにものでもない
しかし人間は喜怒哀楽を状況ごとに繰り返す
その状況をその状況ごとに比べるという概念は人間特有のもの

これが良いことなのか良くないことなのかは
わからないが
それが我々人間

そういうものだ



↓印象に残った言葉

〜トラルファマドール星人から学んだもっとも重要なこと〜
わたしがトラルファマドール星人から学んだもっとも重要なことは、人が死ぬとき、その人は死んだように見えるにすぎない、ということである。過去では、その人はまだ生きているのだから、葬儀の場で泣くのは愚かしいことだ。あらゆる瞬間は、過去、現在、未来を問わず、常に存在してきたのだし、常に存在しつづけるのである。トラルファマドール星人からすると一瞬一瞬は数珠のように画一的につながったもので、いったん過ぎ去った瞬間は二度ともどってこないという、われわれ地球人の現実認識は錯覚にすぎない。
トラルファマドール星人は死体を見て、こう考えるだけである。死んだものは、この特定の瞬間には好ましからぬ状態にあるが、ほかの多くの瞬間には、良好な状態にあるのだ。いまでは、わたし自身だれかが死んだという話を聞くと、ただ肩をすくめ、トラルファマドール星人が死人についていう言葉をつぶやくだけである。彼らはこういう、“そういうものだ”。

(P.43-8行〜)


〜祈りの言葉〜
生きることに不熱心なビリーではあるが、彼のオフィスの壁には、彼の生活信条ともいうべき祈りの言葉が額にいれてかかげられていた。それを見て、生きる勇気を与えられたとビリーにいう患者も多かった。それは、こんな文章である――

神よ願わくばわたしに
変えることのできない物事を
受けいれる落ち着きと
変えることのできる物事を
変える勇気と
その違いを常に見分ける知恵とを
さずけたまえ

ビリー・ピルグリムが変えることのできないもののなかには、過去と、現在と、そして未来がある。

(P.85-11行〜)
この言葉は
トラルファマドール星の動物園でビリーと同じく地球の生物として見せ物となり やがてその星でビリーと結ばれることとなるモンタナ・ワイルドハックが身に着けていたペンダントに刻まれていた文章であった
(P.273-12行〜P.274)


〜別れのあいさつ〜
ビリーはいう、死が訪れる日、彼はシカゴにおり、たくさんの聴衆を前に空飛ぶ円盤や時間の本質について講演している。
ビリーはこれから一時間のうちに起る自分の死を予言する。彼はそれを笑いとばし、群集にもいっしょに笑うようにと呼びかける。
群衆から抗議の声があがる。
ビリー・ピルグリムはなじる。
「もしみなさんがこれに抗議されるのなら、死がつらい悲しいものだと考えておられるのなら、わたしのいったことは一言もみなさんには通じていない」そして講演のしめくくりは、どの講演もそうであるように――つぎのような言葉、「さようなら、こんにちは、さようなら、こんにちは」
「わたしはしばらくのあいだ死にます――そしてまた生きるのですから」

ビリーはしばらくのあいだ死を経験する。そこにあるのは、むらさきの光とブーンという唸りだけ。だれの姿もない。ビリー・ピルグリムすらいない。
(P.190-5行〜)


〜ひとの務め〜
「あれはやむをえなかったのだ」ラムファードはドレスデン爆撃のことを話題にした。
「わかっています」と、ビリーはいった。
「それが戦争なんだ」
「わかっています。別に文句をいいたいわけではないのです」
「地上は地獄だったろう」
「地獄でした」
「あれをしなければならなかった男たちをあわれんでくれ」
「あわれんでいます」
「地上にいるあんたは複雑な気持ちだったろう」
「いいんです」と、ビリーはいった。「何であろうといいんです。人間はみんな自分のすることをしなければならないのですから。わたしはトラルファマドール星でそれを学びました」
(P.261-4行〜)



↓あらすじ(背表紙参考)

時の流れから解放された主人公ビリー・ピルグリムは、自分の生涯の未来と過去とを往来する、奇妙な時間旅行者になっていた。
大富豪の娘と幸福な結婚生活を送り・・・・・・
異星人に誘拐されてトラルファマドール星の動物園に収容され地球という星の生物として見せ物にされ・・・・・・
そして第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、連合軍によるドレスデン無差別爆撃を受けるビリー。
さまざまな自分の生涯を何度も往来するビリー。
もちろん自分の終焉も体験済み。
そんな彼はいったい何を思うのか・・・
彼の人生観とは・・・
著者自身の戦争体験をまじえた半自伝的長篇で(以後、映画の感想の時に書いたものから引用)、それまで公になっていなかった第二次世界大戦でのドレスデン爆撃について、ヴォネガットがこの物語を描いて初めて触れたことで、この出来事が世に知られるようになったらしい。





ドレスデン爆撃 戦争について
もっと真摯に考えさせられるべき物語なのかもしれないが
私はそこまで考えずに読み終えた
ただ
ビリー・ピルグリムの
「死がつらい悲しいものだと考えておられるのなら、わたしのいったことは一言もみなさんには通じていない」
という発言や
過去・現在・未来の往来だったり
トラルファマドール星人から学んだことだったり
これらの経験で彼の感性は常人のそれの向こう側へいってしまっているのだろうと思った
いわば彼は人の心を失っているのではないだろうか

これは
戦争というものは
人が人で無くなる
人の心が無くなる
そんなことに通じているのではないだろうか




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